はじめに
まずいきなりですが、Excelは本当に素晴らしいツールです。
特に最近の発展や連携は目まぐるしく、Pyhtonや配列構造の利用など、便利さが溢れており、「最終的にExcelに戻る」 というのはその通りだ!とも思っています。
ただし、Excelで管理する限界として
- ファイル自体の限界(行列の数の限界、ゆえにファイルが固まる等)
- 単体での可視化の限界(可視化できるグラフが多くない、それなりに工夫が必要という観点)
- ファイルのため共同編集ではなく、「データの物理断面保持」という観点(その点はGoogleのスプレッドシートなどが解決しています)
これらの点を踏まえたときに、今回は経理や事業視点における「予実の管理」を脱Excelする観点から内容を記載してみようと思います
記事は全3回予定しており、初回は「脱Excelのみの運用」に焦点を当てた話となりますが、次回以降はDWHやダッシュボード、少し発展的な話までは持ち込む想定です。
Excelで必要十分
一番はやはり 「誰もが使える」 という点にあるかと思います。
現在私も予実管理をやっていますが、選択肢としてExcel (またはGoogleのスプレッドシート)しか候補に挙がりませんでした。
理由としては
「一人で管理する(複数人で編集することが少ない)」
「数値計算としても四則演算 + α程度で十分、分析などはすぐに実施しない」
などなどが主な理由です。
では実例として予実管理のデータを見てみましょう。(スプレッドシートです)
※こちらは 【無料公開】PL予実管理テンプレートからテンプレートを引用させていただきました。
Excel(スプレッドシート)上のデータとしては見やすいですよね。
- 上段にサマリ(通期)の記載がある
- 未達部分は赤字で記載
- クォーターでの計算も確認でき、2021年2月以降はまだ締まってないので着予(着地予想)としての記載で項目を埋めている
- 他シートに各科目や事業単位でのサマリが記載されており、その数値と連動されている
パッと見でも、それらが盛り込まれており、こちらのシートを用いた運用でも十分な印象を受けます。
ではなぜ乗り換える必要があるのか
これは先ほど逆説的な視点となります。
「複数人でこのシート自体を管理する必要がある」
「管理する科目も増えて手動入力ではなく、自動連携や複数のサービスの内容をマージしたい」
「データが蓄積されており、その変遷を含めて分析したい、または事業におけるプロセスに訴求していきたい」
などなど、主に会社としてのステージが変わってきた、そこにしっかりと時間を使えるようになった、次の一手として必然的に使わなければならなくなった
ということから来るのではないかと思っています。
サービス利用 or スクラッチ構築の視点
これは両方にメリット・デメリットがある話なので、予算感や利用者や管理者のリテラシーから考えることだと思います。
イメージとしては「会社や事業の健康診断をどの程度行うか」という感じでしょうか。
サービスを用いれば、定常的な視点を早く安く見れると思いますし
スクラッチで構築を検討すれば、人間ドックのようなカスタマイズを検討し、時間とお金をかけて実施される形となります。
早期から情報を得る、その対策を検討する => 分析に繋げる・分析組織を作っていくという意味で
私個人としては、
社員数が40 ~ 50人超で、会社として複数事業が存在する、または経営企画がn=1以上存在する場合
にはスクラッチでの管理基盤構築を視野に入れて、自社の経営や事業のデータに強い組織を構築する方が建設的だと経験的に感じています。
Excelではなく、DWHへのデータ蓄積へ
脱Excelを推進する際に、初回の実現目的として定めることが多いのは 「よりグラフィカルな可視化」 となります。
Excelだと格子に囲まれた情報を平面上でしか見れないので、基本的には数値や文字の羅列から強調された内容を探し
その上でデータを追いかけることになりますが、ビジネスインテリジェンスを用いたダッシュボードなどはその点をカバーすることができます。
従い、まずは引き続きExcelは使用しつつも、あくまでも詳細なデータを追いかける場合での利用を想定として
徐々にダッシュボードやDWHを利用するシーンを増やしていくのが良いかと思います。
では先ほどのExcel形式をDWHでも取り込みやすいフォーマットに変えてみましょう。
大まかな変更点としては下記です。
- 横軸(カラム)を統一し、1つのテーブル(表)として認識できるようにした
- Excel上で集計されている項目などは除外した(合計や率、売上総利益など計算すれば算出される数値など)
- その上で「年/月/四半期」「勘定ラベル」「事業部」「締めフラグ」などを追加し、後に集計しやすい形とした
- 複数の表に分ければ、空のデータ(灰色で塗られた部分)は除外できるが、DWHの強みを含めてなるべく1行に情報を持たせて、集計のしやすさに重きを置く
例えばこれを使って運用するとすれば
- 全社員向けや、ビジネス上の進捗状況のみを知りたい経営層 => このデータから生み出されるダッシュボードを利用
- 具体の数値を追いかけたい、予算のメンテなどを行う事業責任者 => このExcelシートをメンテナンス
というすみ分けにはできます。さらにDWHの利用が進むのであれば、Excelの利用頻度は「マスタデータ(変わらない情報)」としての運用のみとすることもできそうです。
次回はこの続きとして「データの取り込みとダッシュボード」にフォーカスして記載をしてみます。